凛と相沢先生

「西音寺と仲良いよね?なんで?」
そう、怪しむ顔で、不機嫌になりながら聞いて来た。

「お墓まいりに行くとよく西音寺さんに、声掛けてもらってて、それで、かな...」

「よく来るの?」

「報告しにね、今日みたいに入学式があったり、卒業式があったり、なんか悩みがある時も...」

「へー」

「えっ?」

「俺には、何にも相談しないのにあいつには...
随分と心許してるんだなぁ」

「いや、違う違う、お墓まいりにね?お父さんと、お母さんに報告しに行ってるだけで...」

「ふーん、俺が今日、本堂のドア開けるまでは、随分と楽しそうに話してたけど?
あれは気のせい?」

「あぁ、それは、大学の話をしてたからで、あっ、そうだ、西音寺さんってね、K...」
そう言いかけて、辞めた。

「俺の前で、あいつの事楽しそうに話すの辞めてくんない?あとさぁ、これから、お墓まいり行くときは俺に一言言ってから行ってくれる?」
そう矢継ぎ早にお願いされた。

何故そんなに西音寺さんのことを毛嫌いするのか分からなかったが、
私はただ素直に返事をした。

「うん、分かった」



そのタイミングで、




信号が赤になり、



唯斗君が、
そっと左手で私の右手を握り、


指を絡め、



その手を軽く自分の方へと引っ張た。



チュッウンアッ…




唯斗君の顔をチラッと見るとニヤッと笑い、

「これで、今までのはチャラにしてあげる」
そう言って、前を向きなおした。
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