凛と相沢先生
お会計を済ましお手洗いに行った。
入って直ぐ、手前の個室で用を足していると看護師さんが3人入ってきたのが分かった。

「相沢先生、今日誕生日だよねー」

盗み聞きをするつもりは無かったが、自然と耳を傾けた。

「うん、私あとでプレゼント渡そうと思ってて、もらってくれるかな?」

「ケーキじゃなかったらもらってくれるんじゃない?」

「そうだねー」

「えっ?なんでケーキはだめなの?」

「もしかしてケーキあげるの?」

「いや、違うけど」

「ケーキはね、去年山田さんが渡してて、甘い物が苦手とか言って受け取らなかったんだよね」

ショックだった。
付き合って、1年経とうとしているのに、知らなかったから。

私は、唯斗君のことを、どれだけ知っているのだろうか?

思い介してみれば、去年、伊藤さんに突き返された茄子だって初耳だったし...

私は、何も知らないんだとひどく落ち込んだ。
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