凛と相沢先生
薬局で薬を貰い、
その足でバスに乗り私は、お寺に向かった。




両親の眠るお墓の前に行くと、
今日も、また、お線香を忘れたことに気づいた。
お母さん、お父さんごめんね、と思いながら手を合わせた。

「お父さん、お母さん、無事大学に入学する事が出来ました。
あと、昔仲よかった相沢唯斗君と同棲を始めることになりました。
1週間経つのにまだ慣れなくて...
この先不安です...」

そう、また、ブツブツ言い始めてから、しばらく経った頃、西音寺さんが声をかけてくれた。
「凛さん、こんにちは」

「こんにちは」

「今日もまた何かあったんですか?」
私のスーツ姿を見てそう聞いてきた。

「あぁ、はい、今日入学式だったので、大学の...その報告に来たんです」

「それは、おめでとうございます」

「ありがとうございます」

「今日は、本堂に上がって行かれますか?」

「いえ、今日は、もう帰ります」

「そうですか、では、また何かあったら来てくださいね?ご両親も、きっと喜びますから」
少し残念そうな西音寺さんが、そう言った。

「はい」
そう、私は笑顔で返事をして、お寺を後にした。
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