凛と相沢先生
日差しが眩しくて目を覚ますと、ベッドの上だった。隣を見ると唯斗君はいなくて、慌ててリビングへと向かった。

ガチャ

「おはよう」
昨夜は、何もなかったかのように、
スーツ姿の唯斗君が爽やかに挨拶をしてきた。

「おはよう」

「コーヒー淹れたから、牛乳入れて飲むか?」

「あっ、うん、ありがとう」

「パンあるけど、焼く?」

「自分で焼くよ、ありがとう」

そう言って私がキッチンに立つと、唯斗君が椅子に座った。

「あっ、そう言えばケーキありがとうな」

「えっ?」

「冷蔵庫に入れてあっただろ?唯斗君おめでとうって書いてあったから俺のだと思って凛が入院してる時に勝手に食べちゃったんだけど…」

「えっ?」

「うん?」

「食べたの?」

「うん、食べたよ、ダメだった?」

「いや、ダメじゃないけど、ケーキ食べれるの?」

「は?」

「いや、風の噂で、相沢先生は、ケーキが嫌いって言うのをつい最近聞かされて...」

「えっ?なにその噂、ケーキ普通に好きだけど?」

「なんか、誰かのケーキを受け取らなかったみたいな」

「あぁ、それは患者さんだからだよ、
うまい断り方が見つからなくてさ、
確かに苦手って言って受け取らなかった気がする」

「あー、そうだったんだ…」

「なんでそんなに嬉しそうなの?」

「いや、捨てられたかと思ってたから」

「そんなことするわけないだろ?」

「うん」

私は、もう1つの知りたかった事を聞いてみた。
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