婚活を始めたら、龍を捕まえました【完】
それから、私たちは週末ごとにデートを重ねた。
初めは、龍さんに初恋の人のイメージを重ねていた私だったけれど、それも徐々に薄れていく。
初恋の彼とは、卒業式をきっかけに付き合い始めたけれど、違う高校だったこともあり、私より新しい友人との付き合いを優先されることが多くて、それが元でけんかをしてしまい、そのまま仲直りすることなく自然消滅してしまった。
けれど、龍さんは、私を最優先に考えてくれる。
もちろん、仕事で外せない時があるのは、仕方ないし、それくらいはもう大人になった私は理解できる。
けれど、それ以外は、いつも一緒にいてくれる。
「結乃ちゃん、今度、大学の仲間とキャンプに行くんだけど、一緒にどう?」
友人がいないわけでも、友人をないがしろにするわけでもない。友人との付き合いの場にも、私を連れて行って彼女として紹介してくれる。
いつも私を1番に考えてくれる彼との時間はとても居心地がいい。
「はい。今度、必要な持ち物を教えてくださいね」
週末の3連休。
私は、迎えに来てくれた龍さんの車でキャンプ場に向かう。
「他の皆さんは?」
私が尋ねると、龍さんは、ハンドルを握ったまま、ちらりとこちらに視線を向けて、
「俺たちだけ現地集合。2日間、きっと結乃ちゃんとの時間を邪魔されまくりだろうから、せめて行き帰りのドライブくらいは、2人きりがいいなと思って」
と照れたように笑った。
なんだろう。
胸の奥がそわそわと落ち着かない。
私の中で、龍さんの特別感がどんどん膨らんでいく。
キャンプ場では、初対面の人も私を受け入れてくれて、まるで以前からの友人だったかのように扱ってくれる。
みんなで楽しく、バーベキューをして、お腹いっぱい夕飯を食べた後、龍さんは私の手を握って言った。
「じゃ、俺たちはもう行くよ。またな」
えっ?
戸惑う私に構うことなく、龍さんは右手に2人分の荷物を持ち、左手は私の手を握ったまま歩き出す。
なんで?
泊まるんじゃないの?
ちゃんと龍さんに言われた通り、泊まりの用意をしてきたのに……
みんなから少し離れたところで、私は尋ねる。
「あの、泊まらないんですか?」
龍さんは、私の手をぎゅっと握る。
「俺たちだけ、別でコテージを借りたんだ。結乃ちゃん、知らない女子に囲まれてテントで寝るのは嫌かな…と思って」
そうなの?
みんないい人だし、別に気にしないけど……
それより、それって、つまり、今夜……
それがどういう意味なのか気づいた私は、急に緊張して、歩き方もぎこちなくなる。
繋いだ手も、今までどうやって繋いでいたのかも分からなくて、どうすればいいのか分からない。
お互い無言のまま、私は龍さんに手を引かれて、コテージまでの道のりを緊張とともに歩く。
龍さんは、コテージの鍵を開け、私を振り返る。
「どうぞ」
ここへ入るってことが、何を意味するか分からないほど、子供じゃない。
でも、私の中に、彼を拒絶するという選択肢はなかった。
私は、コテージの中に足を踏み入れる。
ドアを閉めた龍さんは、私に言った。
「結乃ちゃん、出会って2ヶ月、どんどん君を好きになってくんだ。取引先の医者に誘われて、断りきれなくて行った婚活パーティーだったけど、今では、行ってよかったと思ってる。俺と結婚してくれないか?」
龍さんは、医療機器メーカーの営業さんだもん。そういうお付き合いもあるのかもしれない。
そのお医者さんに感謝しなきゃ。
私は、こくりとうなずいた。
「私も同僚に誘われて行ったんですけど、行って良かったです。龍さんに出会えて、本当に良かった」
龍さんは、そのまま私をぎゅっと抱きしめる。
「良かった。一生、大事にするから」
龍さんは、抱きしめた私の頭に頬を寄せる。
そして、腕を解いた龍さんは、私の顎に指をかけて上を向かせた。そのまま近づいてくる彼の顔が、なんだかスローモーションのようにゆっくりと感じる。私がそっと目を閉じた時、龍さんの柔らかな唇が優しく重なった。
私たちは、この日、永遠の愛をお互いの心に誓った。
初めは、龍さんに初恋の人のイメージを重ねていた私だったけれど、それも徐々に薄れていく。
初恋の彼とは、卒業式をきっかけに付き合い始めたけれど、違う高校だったこともあり、私より新しい友人との付き合いを優先されることが多くて、それが元でけんかをしてしまい、そのまま仲直りすることなく自然消滅してしまった。
けれど、龍さんは、私を最優先に考えてくれる。
もちろん、仕事で外せない時があるのは、仕方ないし、それくらいはもう大人になった私は理解できる。
けれど、それ以外は、いつも一緒にいてくれる。
「結乃ちゃん、今度、大学の仲間とキャンプに行くんだけど、一緒にどう?」
友人がいないわけでも、友人をないがしろにするわけでもない。友人との付き合いの場にも、私を連れて行って彼女として紹介してくれる。
いつも私を1番に考えてくれる彼との時間はとても居心地がいい。
「はい。今度、必要な持ち物を教えてくださいね」
週末の3連休。
私は、迎えに来てくれた龍さんの車でキャンプ場に向かう。
「他の皆さんは?」
私が尋ねると、龍さんは、ハンドルを握ったまま、ちらりとこちらに視線を向けて、
「俺たちだけ現地集合。2日間、きっと結乃ちゃんとの時間を邪魔されまくりだろうから、せめて行き帰りのドライブくらいは、2人きりがいいなと思って」
と照れたように笑った。
なんだろう。
胸の奥がそわそわと落ち着かない。
私の中で、龍さんの特別感がどんどん膨らんでいく。
キャンプ場では、初対面の人も私を受け入れてくれて、まるで以前からの友人だったかのように扱ってくれる。
みんなで楽しく、バーベキューをして、お腹いっぱい夕飯を食べた後、龍さんは私の手を握って言った。
「じゃ、俺たちはもう行くよ。またな」
えっ?
戸惑う私に構うことなく、龍さんは右手に2人分の荷物を持ち、左手は私の手を握ったまま歩き出す。
なんで?
泊まるんじゃないの?
ちゃんと龍さんに言われた通り、泊まりの用意をしてきたのに……
みんなから少し離れたところで、私は尋ねる。
「あの、泊まらないんですか?」
龍さんは、私の手をぎゅっと握る。
「俺たちだけ、別でコテージを借りたんだ。結乃ちゃん、知らない女子に囲まれてテントで寝るのは嫌かな…と思って」
そうなの?
みんないい人だし、別に気にしないけど……
それより、それって、つまり、今夜……
それがどういう意味なのか気づいた私は、急に緊張して、歩き方もぎこちなくなる。
繋いだ手も、今までどうやって繋いでいたのかも分からなくて、どうすればいいのか分からない。
お互い無言のまま、私は龍さんに手を引かれて、コテージまでの道のりを緊張とともに歩く。
龍さんは、コテージの鍵を開け、私を振り返る。
「どうぞ」
ここへ入るってことが、何を意味するか分からないほど、子供じゃない。
でも、私の中に、彼を拒絶するという選択肢はなかった。
私は、コテージの中に足を踏み入れる。
ドアを閉めた龍さんは、私に言った。
「結乃ちゃん、出会って2ヶ月、どんどん君を好きになってくんだ。取引先の医者に誘われて、断りきれなくて行った婚活パーティーだったけど、今では、行ってよかったと思ってる。俺と結婚してくれないか?」
龍さんは、医療機器メーカーの営業さんだもん。そういうお付き合いもあるのかもしれない。
そのお医者さんに感謝しなきゃ。
私は、こくりとうなずいた。
「私も同僚に誘われて行ったんですけど、行って良かったです。龍さんに出会えて、本当に良かった」
龍さんは、そのまま私をぎゅっと抱きしめる。
「良かった。一生、大事にするから」
龍さんは、抱きしめた私の頭に頬を寄せる。
そして、腕を解いた龍さんは、私の顎に指をかけて上を向かせた。そのまま近づいてくる彼の顔が、なんだかスローモーションのようにゆっくりと感じる。私がそっと目を閉じた時、龍さんの柔らかな唇が優しく重なった。
私たちは、この日、永遠の愛をお互いの心に誓った。