婚活を始めたら、龍を捕まえました【完】
翌日、私たちは、10時に家を出る。
駅に向かいながら、私は疑問に思う。
付き合って欲しい所ってどこだろう?
観光をしたいわけじゃないだろうし。
そんなことを思っていると、龍さんは駅前のカフェへと私を連れて入る。
ん?
別にコーヒーを飲みたいわけじゃないだろうし、子供みたいに、あの写真に対抗して乾杯をしたいわけじゃないと思うんだけど……
私は、意味が分からないまま、彼に続いて飲み物を注文する。
「龍さん?」
私は、テーブル席に着いた龍さんの隣に座って声を掛ける。
「俺は結乃を信じることに決めた。でも、翔馬を信じるかどうかは別の問題なんだ」
えっ?
どういうこと?
私が首を傾げていると、龍さんは入り口に向かって右手を上げた。
私は、振り返って驚いた。
「翔馬!」
なんで!?
狐に摘まれたようっていうのは、こういうことを言うの?
わけが分からなくて、私は、龍さんと翔馬を交互に見比べる。
「結……乃……、なんで……」
翔馬も、呆然と私と龍さんを見比べてる。
「翔馬、俺は結乃と結婚する。それを言いたかったんだ」
えっ?
「ちょっ、ちょっと待って! 龍さんは、翔馬と知り合いなの!?」
そんなこと、昨日は一言も……
「結乃、黙ってて悪かった。俺たち、双子なんだ」
は!?
「うそ……。だって、苗字も住んでる所も違うし……」
翔馬は、龍さんの前に座った。
「ほんとだよ。俺たちは双子だ。だけど、まさか龍が結乃を好きになるなんて……。一卵性ってそんな所まで似るのか!?」
翔馬は、大きくため息をつく。
「翔馬、お前は俺だったかもしれない。どっちが先に生まれてもおかしくはなかった。だから、代わって欲しいなら、今さらだが、俺はいくらでも代わってやる。ただ、結乃だけは、譲れないんだ」
龍さんは、真剣な目で翔馬を見る。
龍さんの目が真剣だから、私は口を挟むことも出来ず、ただ2人を眺めることしかできない。
「ふっ……
別に代わって欲しくもないし、結乃を譲ってもらおうとも思わないよ。俺は、昨日、改めて振られたばかりだからな」
その瞬間、龍さんが私を見た。
「え、いえ、あの……」
まさか、こんな形で昨日のことがあからさまになるなんて思わなくて、私はうろたえることしかできない。
「龍、自信持てよ。結乃は、お前しか見てない」
まさか翔馬がフォローしてくれるとは思わなくて、驚いた。
「昨日、犬の餌を買いに行ったら、偶然、結乃に会ったんだよ。俺が、場所も考えずに、やり直そうって言ったら、結乃は速攻で断って来た。好きなやつがいる、結婚するつもりだって。まさか、それが龍のことだとは思わなかったけどな」
私は、おろおろと2人の様子を見守ることしかできない。
「結乃、俺、来月から龍の家に住むんだ。また会うこともあるだろうから、よろしくな。昔馴染みの友達として、いや、義弟としてかな」
翔馬は、くくくっと笑う。
龍さんは、私の手をキュッと握った。
「翔馬、結乃には、絶対に手を出すなよ」
龍さんがそう言うと、翔馬はニッと笑う。
「それは龍次第だな。龍が結乃を泣かすようなことがあれば、遠慮なくもらいに行くよ」
すると、龍さんもニッとよく似た笑顔を見せる。
「なら、大丈夫だ。俺は絶対に結乃を泣かせたりしないし、世界一幸せにする予定だから」
龍さんの突然の宣言に、私は顔が熱くなる。
こんな風に言ってもらえるなんて思わなかった。
「じゃ、翔馬、またな」
龍さんは立ち上がり、私はそれにならう。
私は、翔馬にペコリと頭を下げて、龍さんに続いて店を出た。
駅に向かいながら、私は疑問に思う。
付き合って欲しい所ってどこだろう?
観光をしたいわけじゃないだろうし。
そんなことを思っていると、龍さんは駅前のカフェへと私を連れて入る。
ん?
別にコーヒーを飲みたいわけじゃないだろうし、子供みたいに、あの写真に対抗して乾杯をしたいわけじゃないと思うんだけど……
私は、意味が分からないまま、彼に続いて飲み物を注文する。
「龍さん?」
私は、テーブル席に着いた龍さんの隣に座って声を掛ける。
「俺は結乃を信じることに決めた。でも、翔馬を信じるかどうかは別の問題なんだ」
えっ?
どういうこと?
私が首を傾げていると、龍さんは入り口に向かって右手を上げた。
私は、振り返って驚いた。
「翔馬!」
なんで!?
狐に摘まれたようっていうのは、こういうことを言うの?
わけが分からなくて、私は、龍さんと翔馬を交互に見比べる。
「結……乃……、なんで……」
翔馬も、呆然と私と龍さんを見比べてる。
「翔馬、俺は結乃と結婚する。それを言いたかったんだ」
えっ?
「ちょっ、ちょっと待って! 龍さんは、翔馬と知り合いなの!?」
そんなこと、昨日は一言も……
「結乃、黙ってて悪かった。俺たち、双子なんだ」
は!?
「うそ……。だって、苗字も住んでる所も違うし……」
翔馬は、龍さんの前に座った。
「ほんとだよ。俺たちは双子だ。だけど、まさか龍が結乃を好きになるなんて……。一卵性ってそんな所まで似るのか!?」
翔馬は、大きくため息をつく。
「翔馬、お前は俺だったかもしれない。どっちが先に生まれてもおかしくはなかった。だから、代わって欲しいなら、今さらだが、俺はいくらでも代わってやる。ただ、結乃だけは、譲れないんだ」
龍さんは、真剣な目で翔馬を見る。
龍さんの目が真剣だから、私は口を挟むことも出来ず、ただ2人を眺めることしかできない。
「ふっ……
別に代わって欲しくもないし、結乃を譲ってもらおうとも思わないよ。俺は、昨日、改めて振られたばかりだからな」
その瞬間、龍さんが私を見た。
「え、いえ、あの……」
まさか、こんな形で昨日のことがあからさまになるなんて思わなくて、私はうろたえることしかできない。
「龍、自信持てよ。結乃は、お前しか見てない」
まさか翔馬がフォローしてくれるとは思わなくて、驚いた。
「昨日、犬の餌を買いに行ったら、偶然、結乃に会ったんだよ。俺が、場所も考えずに、やり直そうって言ったら、結乃は速攻で断って来た。好きなやつがいる、結婚するつもりだって。まさか、それが龍のことだとは思わなかったけどな」
私は、おろおろと2人の様子を見守ることしかできない。
「結乃、俺、来月から龍の家に住むんだ。また会うこともあるだろうから、よろしくな。昔馴染みの友達として、いや、義弟としてかな」
翔馬は、くくくっと笑う。
龍さんは、私の手をキュッと握った。
「翔馬、結乃には、絶対に手を出すなよ」
龍さんがそう言うと、翔馬はニッと笑う。
「それは龍次第だな。龍が結乃を泣かすようなことがあれば、遠慮なくもらいに行くよ」
すると、龍さんもニッとよく似た笑顔を見せる。
「なら、大丈夫だ。俺は絶対に結乃を泣かせたりしないし、世界一幸せにする予定だから」
龍さんの突然の宣言に、私は顔が熱くなる。
こんな風に言ってもらえるなんて思わなかった。
「じゃ、翔馬、またな」
龍さんは立ち上がり、私はそれにならう。
私は、翔馬にペコリと頭を下げて、龍さんに続いて店を出た。