知らなかった、お前をこんなにも好きになるなんて…
それから俺は移動教室の時に無意識に3組を覗いているようで……
純平にからかわれる日々が続いた
でも、ほとんど会えなくて、廊下をゆっくり歩いてみることくらいしか出来ない
昼休みもトイレ帰りに友達に会うふりをしながら教室を覗いてもいないことが多かった
斗真は窓の外を見ながら本を読んでいた純平に尋ねる
「なぁ、純平?」
「ん?」
「隣のクラスでさ、こんなに見かけない事ってある?」
純平は読んでいた本をパタンと閉じた
「やっぱり石川の事が気になるんだ(笑)」
「……好きとは思わないけどさ、その……石川の存在を知ってから会えないのって気になるじゃん?」
「気になるんだ(笑)」
「……っ、気に……なる」
「斗真のさ、携帯に入ってる沢山の連絡先はさ、何も役には立たないんだな(笑)」
「確かにだな(笑)純平は石川の連絡先は知ってんの?」
「知らない……石川ってあんまり男と話さないしな、用事があれば話すけど大人しいグループにいるからな」
「そっか……」
「お前の沢山の友達と合うような感じではないと思う、石川はお前の事は知らないと思うぞ」
「征と同じ事を純平も言うな、トイレに行ってくる」
斗真は席を立って教室を出た
斗真が石川の事をねー
純平は斗真の出ていく後ろ姿を見ていた
あいつはモテるし女子とも普通に話す
だけど告白されても付き合わない
目立つから友達も派手な子も多い
大人しい石川と話せるのか?
廊下の窓に石川の姿が見えた
うちのクラスの女子に呼び止められて窓越しに話している
斗真……お前、ついてないよ
入れ違いに斗真が戻ってきた
はぁとため息をついている
会えなかったんだな
「斗真」
「ん?」
「3組を覗いたのか?」
「まぁ、ちょっとだけな、んでトイレ行ってきた」
「そのうち会えるって、うちのクラスにはバドミントン部が1人いるじゃん」
「あー、うるさいキャラがそういえばいたな、あいつ苦手……声デカい」
「まあ、うるさいけど、ちなみにそいつも同じ保育園(笑)」
「マジか(笑)あっ、でも仲良いのかな」
「実はさっき話してた」
斗真の目が開いた
「えー、教室にいればよかった」
斗真は机をドンて叩いた
「だなーって思ってた(笑)」