One s death -the last sword-
そしてその事にも飽き、書いてもいないものや必要ないものまで書き尽くすと、ついには暴走し出してノートを床に叩きつけるようになる。それはもう、親の仇のように。
「ふ…らば…し」
「ごめん、無理に解読しなくていい。嫌味に見えるから」
「個性的な字ですね、さぞ強い指使いなのでしょう」
レベッカは、ノートの文字を指でなぞりながら答えた。その低い声からキザな言葉じやなく、皮肉が出るなんてあんまりだ。そしてレベッカは、微笑みながら俺の目にかかった髪をはらった。
俺の髪は、この国には珍しい明るい茶色で下に金髪が入っている。レベッカより少しだけ明るいだけなのだが、この国にとっては珍しいらしい。
街に住む人々は、基本的に濃い青系が多く茶色や金は王家にしか受け継がれない。瞳の色は、俺とレベッカが王家にも民にも受け継がれない澄んだ水色。
レベッカが少し触れたこめかみに熱が宿った。
後を追うように、俺の指も自分のこめかみに触れる。
「…レベッカ」
「はい」
言えば答える、有能な騎士。
いつもなら普通に言える事も言えなくなる、それがあの時だった。あの時言っていたら、何か変わっていたかもしれない。
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