One s death -the last sword-
「…ラーバンおーうっ」
「ザスクートか」
ラーバン王の手から、カップが落ちた。
「どうされたんです?驚いてるようですけど」
「…随分長かったな」
「もう疲れましたよ!!」
向かいの椅子に、腰をおろす。
胸元から数枚の紙を取り出し、机に置いた。
「まあ、それが今回分かった事の全てですね」
「…王が犠牲になる程の情報なのか?」
「それは、王が決めてくださいよ」
口をとがらせて、文句を言ってみる。
王が内容を見ている間、俺は喋り続けた。
ラーバン王は相槌をうつだけだったが、それでも俺の話は止む事はなかった。

話し続ける限り
俺の思考は
そっちに逸れる。

「まあまあの情報だな」
「…人の命を何だと思って……」
言葉が、途中で途切れた。
先を言う事は、できなかった。
ラーバン王の瞳が、伏せ気味に見つめてくる。
「ザスクート?」
視線がさ迷う事を、自分でも止められなかった。
「…ご苦労だったな」
穏やかな声が、頭上で響いた。
母親に裏切られ、父親に存在理由を認められなかった。
人を愛しても、いずれ嫌われてゆくなら。

愛さない方が
楽なのかもしれない。

「……ザスクート?どうしたんだ?やけに大人しいな」
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