One s death -the last sword-
「いえ。ラーバン王は、いつになれば王女を迎えられるんです?」
ひやかしながら、笑みを返す。
ラーバン王は小さく咳ばらいをして、誤魔化した。
「俺の事は、まだいい。…それより、ザスクートの全てを聞きたい」
真っ直ぐな水色の瞳で、全てを見透かされているような気がした。
「…王は、誰かに裏切られた事がおありですか?」
「俺が裏切られたら、国の存亡に関わるぞ」
低く、苦笑する。
幼くして1国の『王』になったラーバンの乾いた笑い声は、心地よかった。
「…じゃあ、何か、何でもいいんですけど理由を認められなかった事は?」
「俺の意見を否定するより、他の意見の方が正しい」

この『王』は 強い。
国を動かせる『力』と
民を動かせる『心』を
そなえている。
尊敬を越えた
若き『王』への 忠誠。

「…ザスクート、お前の意見だ」

全てを見通す 瞳。

「俺は、1人の人間としてこの国の『王』として、お前を手元に置いておく」
窓際で、ラーブルが静かに鳴く。
握りしめた手をほどき、腰に差した2本の剣を王の目の前に置く。
父親に定められる存在理由だけが、俺ではない。
そんなもの、永遠に断ち切ってやる。
「……ラーバン『王』」
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