One s death -the last sword-
レディック様はもう1度ベッドに座り、側にある箱を引き寄せた。
鍵つきの古そうな箱は、レディック様のもつ鍵をすんなりと受け入れる。
カチャッと、鍵のあいた音がした。
蓋を開けると、中から黒い首飾りが出てきた。
女性向けではないそのデザインは、剣の形をしている。
腕を組んでその光景を見ていると、レディック様の顔が俺を向いた。
「これ、レベッカに」
1瞬、言葉を失う。
何も返事を返せないでいると、王太子殿下の手が俺へと伸びた。
そのまま後ろへと回り、首飾りをつけてもらう。
首の後ろで、小さな金属音が聞こえた。
冷たい指先が肌に触れると、やっと意識が戻る。
「…いいんですか?レディック様」
大きく、頷く。
「いいんだよ。俺の誕生日に、レベッカは長い剣をくれたろ?それには、及ばないもんだけど」
水色の瞳が、細まった。
形のよい唇が、笑みをたたえる。
「誕生日おめでとう、レベッカ」
ようやく声変わりした、低くなった声。
レディック様は照れ隠しのように唇をなめると、勢いよく立ち上がった。
「さて、朝食食べに行こ。レベッカ、食べた?」
「いえ、まだ」
「じゃあ一緒に行こう。今日は何だと思う?」
服に袖を通す王太子殿下。
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