One s death -the last sword-
何を言われても、たえる事ができた。
本当は、王族の秘められた過去の戦なんて興味がない。
王太子殿下がラ・サズリック王国の王であろうと、その王を守っていた騎士が婚約者であろうと。
何の為に、この繋がりがある?
何の為に、私は騎士の婚約者になった?
私にしかできないから、神はこの位置を私に与えた。
薄情なのかもしれない。
2人とも形だけの婚約のつもりだった。
だけど、今になって何かに気付いた。

何を言われても、たえる事ができた。

「アリア!!この裏切り者の妻!!」
実の親から浴びせられる、毒のような言葉の数々。
それに、耳をふさぐ事はなかった。

全て、騎士の婚約者である私だからこそ。

庭に、きらびやかな馬車がとまった。
風に揺れるあの旗は、確か王族の紋章だった。
勢いよく立ち上がり、鍵を開けて部屋を飛び出す。
背中に、親からまたも罵声を浴びせられる。

もう、ラスタイ家なんて捨ててもいい。

外に飛び出すと、ラーバン王が見つめていた。
水色の瞳で。
「…抵抗するか?アリア・ラスタイ?」
挑戦・挑発するかのような目。
冬の冷たい風が、形もなく間をすり抜けた。

帰ってきた時、微笑んで迎えられるように。
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