One s death -the last sword-
授剣式を終えて、俺は王に連れられて薔薇園に出た。
腰には、まだ使い慣れていない
『ウィード・ガウン』
――定められた自由
がある。
ベルカ王女と共に微笑んでいる王子は、薔薇を胸元に差していた。
今では茶色が勝った髪の毛も、その薔薇がよく似合っている。
「レディック王太子殿下」
王が呟くように呼ぶと、小さな王子は王の胸へと飛び込んだ。
その腰には、同じ『ウィード・ガウン』が差されてある。
はねた茶色の髪の下に、王と王女に共通する金が見えた。
「レディック」
もう1度声をかけると、王子は顔を上げた。
透き通った水色の瞳が、輝いている。
「レベッカ・ラクロイム。――この少年は、お前を守ってくれる」
理解しきれていないような表情を浮かべた後、王子は俺の顔を見つめた。
「レベッカ…」
王と王女が、互いに顔を見合わせた。
そのまま笑みを交わすと、王子と俺を残して姿を消した。

「…レディック王太子殿下」
名前を呼ぶと、王子は口元に笑みを浮かべる。
そして俺の手をひき、ひとつの薔薇の前に立たせた。
「これは、母上の好きな薔薇。これは、父上」
ひとつひとつ指差して教えてくれる、幼い王子の横顔を見る。
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