One s death -the last sword-
間に料理や花が置いてあるものの、微妙に近い。
そして俺には、あの老人が誰だか理解できない。
スープを口に運びつつ、顔を盗み見る。
髪の毛は、綺麗に手入れされた白髪。
眉の間には皺が刻みこまれていて、服は紳士的なスーツ。
質問は色々あるのに、気の小ささが声に出すのを邪魔した。
時々響く、カチンという皿をつく音にも驚いているのに、これ以上何かするのは自殺行為というもの。
だが、顔を突き合わせて食事しているのに、誰もいないという風に無視して食事を続けるのも失礼だ。
口の中で、無意識に口に運んだ食べ物の味が広がっていく。
グラスに注がれた水を飲んで口の中の物を流しこみ、ひとつにまとまった質問を口に出そうとしたその時。
俺の目は、謎の老人のグラスをうつした。
グラスに注がれているのは、茶色い紅茶ではなく明らかに酒。
朝から『酒』という、その勢いと心の芯の強さみたいなものに、再び俺の口は高速で閉じていった。
昔、俺の目の前には果てしなく続くレールがあった。
脇を見る事も許されず、すぐ上を見上げれば空が広がっているのに、上を見る事も許されない。
自分の歩いてきた道を振り返る事もなく、ただひたすら下を向いて歩かされた。
そして俺には、あの老人が誰だか理解できない。
スープを口に運びつつ、顔を盗み見る。
髪の毛は、綺麗に手入れされた白髪。
眉の間には皺が刻みこまれていて、服は紳士的なスーツ。
質問は色々あるのに、気の小ささが声に出すのを邪魔した。
時々響く、カチンという皿をつく音にも驚いているのに、これ以上何かするのは自殺行為というもの。
だが、顔を突き合わせて食事しているのに、誰もいないという風に無視して食事を続けるのも失礼だ。
口の中で、無意識に口に運んだ食べ物の味が広がっていく。
グラスに注がれた水を飲んで口の中の物を流しこみ、ひとつにまとまった質問を口に出そうとしたその時。
俺の目は、謎の老人のグラスをうつした。
グラスに注がれているのは、茶色い紅茶ではなく明らかに酒。
朝から『酒』という、その勢いと心の芯の強さみたいなものに、再び俺の口は高速で閉じていった。
昔、俺の目の前には果てしなく続くレールがあった。
脇を見る事も許されず、すぐ上を見上げれば空が広がっているのに、上を見る事も許されない。
自分の歩いてきた道を振り返る事もなく、ただひたすら下を向いて歩かされた。