One s death -the last sword-
装飾過多な扉を開けると、双子の弟が椅子に座っていた。
場違いのようにぽつんと置かれた小さな椅子は、何もない大広間の隅に置かれている。
「ロア!!」
俺は、同じ服を着た2人の弟のうち1人の名前を呼んだ。
ロア・キャンクイール。
この国の第2王太子殿下である。
「はい、兄上」
ロアは俺の姿を見つけると、椅子から降り俺の足にまとわりついた。そしてワンテンポ遅れて、もう1人の王子が足にまとわりつく。
第3王子セア・キャンクイールだ。
2人は、俺の足に抱きついたまま兄の顔を見上げた。その大きな瞳には、兄が話す事に好奇心を抱いている。
「ロア、セア。…父上は?」
2人は顔を見合わせて、がっかりしたように顔をふせた。肩までのびたおかっぱの金髪が、静かに揺れる。
「…父上は、イグナイア国王陛下と街へでかけられました。兄上に伝えておけ、と言われてから」
セアは、俺の顔を見て少し笑った。多分、とんでもない顔になっているのだろう。
「父上は、俺がここに来る事を知ってたんだな」
「えぇ、おそらくは」
ロアとセアは双子で、よく似ている。
金の愛らしい髪の毛と輝くグリーンの瞳が年より幼く見せた。
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