One s death -the last sword-
頭の中がぼーっとして、しばらく何も話せなかった。
足はかろうじて進むものの、レベッカの服の裾を掴んでいなければ何処に行くか分からない。
馬ではしった時はたいして長く感じていなかったのに、歩くと結構な距離になる。
馬は2頭とも、傷付いた兵士を乗せてカスクライ王国に向かった。
「…なぁ、レベッカ」
「何です」
「俺、生きてるよな?」
「…はい」
何回目かになるこの質問を、レベッカは笑いを含んだ声で返してくれる。
「…今思えば、全部この国から始まったんだよな」
惨劇も、悲劇も、誕生も、全て……。
温かくて、それでいて無慈悲なこの国。
たとえ王がいなくなっても民を引き止める要素として、この国はなくならなかった。
ただひとつの、弱み・弱点と言ってもいいのかもしれない。
ひとつを捨てれば、もうひとつがある。
そんな甘い考えが、今までの俺を縛りつけていた。
…結局、俺には何もなかったのだけれど。
何かを選ぶというのは、結局何かを捨てるという事。
何かを好きになるというのは、結局何かを嫌いになるという事。
ふたつを選ぼうとすれば、『贅沢』と言われてふたつとも手に入らない時がある。
何が基準なのか、教えてくれ。
足はかろうじて進むものの、レベッカの服の裾を掴んでいなければ何処に行くか分からない。
馬ではしった時はたいして長く感じていなかったのに、歩くと結構な距離になる。
馬は2頭とも、傷付いた兵士を乗せてカスクライ王国に向かった。
「…なぁ、レベッカ」
「何です」
「俺、生きてるよな?」
「…はい」
何回目かになるこの質問を、レベッカは笑いを含んだ声で返してくれる。
「…今思えば、全部この国から始まったんだよな」
惨劇も、悲劇も、誕生も、全て……。
温かくて、それでいて無慈悲なこの国。
たとえ王がいなくなっても民を引き止める要素として、この国はなくならなかった。
ただひとつの、弱み・弱点と言ってもいいのかもしれない。
ひとつを捨てれば、もうひとつがある。
そんな甘い考えが、今までの俺を縛りつけていた。
…結局、俺には何もなかったのだけれど。
何かを選ぶというのは、結局何かを捨てるという事。
何かを好きになるというのは、結局何かを嫌いになるという事。
ふたつを選ぼうとすれば、『贅沢』と言われてふたつとも手に入らない時がある。
何が基準なのか、教えてくれ。