One s death -the last sword-
目を向けた王の瞳が、優しく微笑んだ。

1人で泣いても
星に願っても
求めたものは
決してかえってこなかった

「いつまでも愛せば、いつまでも信じていられるではないか」
ザスクートの頭が、下がった。
そのまま立ち上がり、頭を上げる。
「……ラーバン王、失礼します」
「ああ、下がれ」
ひどく、穏やかな声だった。




少しすると、部屋の扉が控え目に叩かれた。
「…失礼します、ラーバン様」
「何だ」
「昨日の負傷者の数がでました」
「…負傷者?」
「はあ」
200人以上の兵士と共に向かったのに、死者が出なかったというのは驚きだ。
「負傷者182人。肩や足などの軽傷者が殆どです。3人程出血が多い者もいますが、命に別状はありません。…驚きですね」
「そうだな。全く、レディックの事となると退屈する時がない」
不自然に、沈黙が訪れた。
自分はこの者に背を向けたまま話している事を、初めて気付く。

――さすがに、油断しすぎたか。

「どうやって入った?警備が甘すぎたか」
「警備以前の問題ですね。7年間過ごしたこの城の事は、全て覚えています」
「レディックは、この事を知っているのか」
ラーブルが、窓際で静かに鳴く。
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