One s death -the last sword-
俺はレベッカに苦笑いを返しつつ、アリアを盗み見た。
腰までのびた濃い灰色の髪に、よく動くロア・セアと同じグリーンの瞳。よく見ると、アリアの瞳の方が少し陰っている。
アリアは派手すぎない洋服に身をつつみ、人の良さそうな笑みをうかべていた。貴族とあって、とても礼儀正しい。
…何がどんなになったら、いや何があったらあの様に落ち着けるのだろうか。
「で、俺の身辺警備をしにきたの?婚約者をつれて」
「アリアが、レディック様のお目にかかりたいそうで。まぁ、読書の邪魔はしませんよ」
俺は口をとがらせながら、椅子を出させて2人を座らせた。自分は数冊の本を持ち、窓際の特等席へ。
「さて、たまには王太子殿下らしくしてください。レディック様」
「何、今更」
「開戦するかもしれません」
あまりいつもと変わらない声で、レベッカはそう告げた。一瞬だけ静かになる部屋は、とても居心地が悪い気がする。
大した事じゃないと思いそうになる声音だが、実際大した事だ。
「…あの、もうちょっと緊迫した状況作りとか…ないんですか…」
思わず敬語。
「ラーバン王は拒否しているようですが。どうもイグナイア国王陛下がしつこいらしくて」
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