One s death -the last sword-
「レベッカも、俺なんか助けなければ良かったのに…」
「え?」
俺はレベッカを見上げ、薄く微笑む。
この暗さは、本当に木々が太陽を遮っているからだろうか?
「俺1人の命より、兵士達数十人の命の方が大事だろ!?」
沈黙が、冷たく2人を包みこんだ。
強く噛んだ手の甲が赤く腫れて、一筋の血が流れる。
レベッカは、腰につけた黒い袋から瓶と包帯を出し、俺の手をとった。
感情のよめないその表情のまま、口を開く。
「確かに1人の命より、数十人の命の方が大切かもしれない。…けれど」
瓶のコルクを引き抜き、中身の透明な消毒液を傷にたらす。
たらした部分から消毒液が傷口にしみこんでいき、その痛さで思わず顔がゆがんだ。
だがそんな事より俺は、レベッカの続きの言葉が気になっていた。
「けれど俺は。数十人の命より、レディック様唯1人の命の方が大切です」
「え…?」
もう一度聞こうとする前に、レベッカは俺に向かって微笑んだ。
優しそうな笑みなのに、なぜか胸が痛くなる。
そのままガーゼを傷口に当て、包帯で軽くまく。
レベッカは名残惜しそうにじっと俺を見て、つかんでいた手を離した。
たった一瞬だったが、俺の手は後を追うように宙をさ迷い、やがて力
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