One s death -the last sword-
「炎はついに、中央に位置する王城に迫ってきていました。俺はクリスタント王の最期を見届けてから、レディック様がいるはずの隠れ家に向かいました」
レベッカはそこで一旦話をきり、眉をしかめた。
ここら辺は、俺でも充分予想できる。
「…俺…いなかったんだ…その隠れ家に…」
「ご名答」
俺はにじみ出る苦笑いをこらえて、恥ずかしさを隠すため毛布を目の下まで手繰りよせた。
「俺とレディック様しか知らない、王城内の隅にある隠れ家に、争いが落ち着くまで居ていただくはずだったのに…。着いてみたら、だーれも居ない。本当にびっくりしましたよ」
上目づかいでレベッカを盗み見ると、はっきりと笑ってはいけないような微妙な表情をしていた。 …多分、泣けないのだろう。
直感的に、そう思った。
それ以上見る事ができなくて、俺は一瞬で目をそらす。
「必死に探しました。農村の火はもう王城の半分を隠していましたから、もしもの事を考えて『ウィード・ガウン』を握りしめていました」
「…なんで」
「悪く思わないでくださいね。レディック様が聞いたんだから、後になって『意味分かんねぇ』とか『嫌いだわ』とか言わないでくださいね」
「…うん」
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