One s death -the last sword-
俺は、自分の意思で目を覚ました。
覆いかぶさるような木々の間から、太陽が顔を覗かせる。
何も考えないまま上半身をおこすと、燃えた木の枝だけが中央に散らばっていた。
吐き出した息が、どれだけ寒いかを物語る。
「レベッカ?」
果てしなく続くような森の先にもう一度問いかけても、返事はない。
急に不安になった俺は、辺りを何度も見回してレベッカを探した。
…いない。
「おい、レベッカ!!返事しろよ…」
全て、夢じゃなかったんだ。
今目覚める前の出来事は、全て悪夢なんかじゃなかった。
俺は、追われている。
ラ・サズリック王国の王として、勢力をのばしたいカスクライ王国から。
夢じゃ、なかった。
立ち上がって、自分が置かれている状況も考えずに大声で叫ぶ。
そう、問いかけるというよりは、祈りや願いに似た叫び。
「…レベッカ」
何処へ行ったんだ?
その時、近くに足音が広がり見慣れた青い隊服がちらついた。
「レディック様、どうしたんですか」
振り返ったそこには、まぎれもなくレベッカがいた。
急に現れたレベッカに驚く頭で整理すると、さっきまでの自分の言動がものすごい恥ずかしいものだと思い知らされる。
いい歳した人間が、何やってる。
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