One s death -the last sword-
半分睨みつけるように見ると、徐々に視線を下げていった。
気が抜けたように、体重を背もたれにあずける。
そして、ウィード・ガウンに手をかけたままレベッカは目を閉じた。
「最初は、全部燃えてたんだ。だけど、その中に昔の俺を見つけて…。ずっと前だけを見て、必死に何かから逃げてた。追ってったら、薔薇園に着いた。一瞬、自殺かと思ったけど違って。側に落ちてた薔薇を拾ってたら、いつの間にかレベッカが来てたんだ。
最初は何を言ってんのか分からなかったけど、段々と聞こえるようになって、聞いてみると…」
今でも、頭から離れないレベッカの言葉。
俺は、レベッカが目を開けた時目が合わないようにレベッカに背を向けた。
外は、不自然な程静かだった。
「レベッカは…『この命・体滅びるまで主に仕える者…』『我が名はレベッカ・ラクロイム』って言ってた。…そして、俺は…」
心臓の音が聞こえそうで、ふいに胸を押さえる。
息をする音も、小さな動作ひとつでも場違いな程うるさく響いた。
レベッカは今、何を考えているんだろう?
「…俺は『俺が王だ』って…」
その時、馬車が急停止した。
もう少しで背中から落ちそうになるのを、ギリギリで止める。
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