One s death -the last sword-
俺が起き上がるより先に、レベッカが剣に手をかけて戸口の前に立つ。
だが、レベッカはすぐ緊張をといて戸を開けた。
夕日に慣れない目が、少し痛い。
「レディック様、ここがラ・サズリック王国の中央に位置する王都です。いつの間にか、ここまで来てたんですね」
微笑むレベッカの後ろには、俺が見た事のない景色が広がっていた。
俺の、国。
そこには、まず緑があふれていた。
煉瓦をしきつめた通りの横には花が植えられており、通りに沿って色々な形の店が建っている。
等間隔で植わった小さなモミの木も、立派に育っていた。
そして、遥か遠くには王城らしき建物も見える。
「王都は囲いで区別できるようになってます。入口はここしかありません。王都を出て少し歩くと村があり、大勢の方が住んでいますよ」
タリーさんの声は、もう耳に入らなかった。
俺は、自分の目を疑う事しかできなかった。
夢で見た、あの燃えていた国がこんなになるとは。
ゆっくりと地面に降りると、心地よい風が吹き花の香りが鼻をくすぐる。
「嘘だろ…」
だがやはり、森林は少なかった。
1度燃えた地面は、草が生えにくい。
俺は一瞬高ぶった気持ちをおさえて、景色から目を背けた。
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