One s death -the last sword-
俺は、消え入りそうな小さい声で呟いた。
「絶対にもう1度見たくなる。この時間に、この場所で、もう1回…」
この国の人々に、俺は認められなかった。
『王』だと信じてもらえなかった。
俺に残されたのは、『逃亡』か『死』か。
もう、その2つしか考えられない。
「俺は、この国が大好きだ!!俺が…王なんだ」
「…そうです。レディック様が王なんです」
少しずつ、でも確実に時間は進んでいく。
もう、通りにできた直線は消えていた。
涙があふれて、景色はぼやけていたが何故か俺の目は、眩しいくらいの光であふれている。
ずっと前から、俺の居場所はここだったんだ。


前を見失わないように
いずれは 王がいない事に気がつくから
光を見失わないように
いずれは 前が見えない事に 気がつくから
自分の目的を見失わないように
いずれは 全て失った事に気がつくから


ラクトンの家は、農村『ザース』という所にあった。
頑丈そうな煉瓦で建てられた大きな家の割には、四方を畑や田に囲まれている。
この『ザース』こそが、1番始めに燃やされた村だ。
「多分、土を支援していただいているというキルクバルク王から、いただいたんでしょう」
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