One s death -the last sword-
土を靴の裏で踏みしめながら歩く。
「土が、少し土地に合ってない」
「あのー…」
額を何度も叩いて思い出そうとする俺に、レベッカは前を向いたまま教えてくれる。
「ラクトン」
「そう!!ラクトン!!名前って覚えるの苦手…」
茶色い玄関を数回ノックすると、にこやかな笑顔のラクトンが出てきた。
口を半開きにしたまま、固まっている。
「貴方は…」
「レディックです。朝はどうも」
茶色くて短い髪の毛に、大きくて丸い目。
誠実そうだし、真面目そうだし、顔も整ってるし。
多分、レベッカと正反対のタイプでモテるんだろう。
…ってゆーか、俺はいつから顔ばかりこだわって……。
「話があるんです。俺の事を、王と認めてくれないでいいから、話だけ聞いてください」
ラクトンは半信半疑な目だったが、天性の性格の良さに負けたのか渋々と中に入れてくれた。
案内された部屋はソファーとテーブルがあるだけだったが、部屋自体が広く豪華に思える。
「言っときますけど、俺は王です。レディック・ラ・アンサーです」
「…信じられません」
はっきり言って、俺はこんなタイプが嫌いだ。
この気持ちをおさえて、苦笑いを返す。
手が震えるのを、笑顔で止めつつ。
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