One s death -the last sword-
ベルカは口元を緩め、ラーバンの手をひいた。
そのままベンチに腰かけ、口を開いた。
「…素敵な風景ですね。ラーバン王」
「……ああ」
「私の国も、カスクライ王国と同じようだったらいいのに」
ラーバンは、記憶の棚をこじあける。
確か、ベルカの母国ラ・サズリック王国はカスクライ王国に負けずとも劣らない、綺麗な国だったはずだが。
「…何か、不満でもあるのか?」
ベルカが、寂しげに首を横にふる。
「不満なんて。…ただ、このような庭園を城に構えられるような王が、国を支えてくださればどんなにいいか…」
「1度ラ・サズリック王国の王城に行った事があるが、それ程あれていたか?」
「私には、合いません」
きっぱりと言いきるベルカに、ラーバンは動揺を隠しきれなかった。
…同時に、何ともいえない嬉しさがこみあげてくる。
太陽の光が、溢れ出る噴水の水をきらめかせていた。
ラーバンは、そんな景色を見ながらすっかり溶けこんだベルカの頬に手を添える。
「…ラーバン王?」
「じっとしていろ」
茎を色素の薄い金色の髪に、優しく差す。
真っ赤な薔薇が、ベルカの耳元で静かに花開いていた。
ベルカの白い頬に、淡い赤がともる。
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