One s death -the last sword-
空は青く澄み、冬だというのに空気は心地良かった。
いつもの服にマントをはおっただけだというのに、寒さは感じられない。
金色の髪の毛を、風がなでてゆく。
噴水の水が、手の平を滑り落ちていった。
1人でいると、余計な事を考えなくてすむ。
ただ、隣が少し寂しい気もするが。
何しろ、こんな気持ちは初めてなのだ。
小さい頃から『王』になる事が当たり前で、それをおかしく思った事もない。
そのため、それ以外の事を習った事もないし、習う必要もないと心のどこかで思っていた。
それが後悔に繋がるとは、みじんも思ってなかった。
そんな事を思っていたせいか、ラーバンは近くに来るまで誰かが来た事に気付かなかった。
―誰だ?
思わず剣を握ってしまったが、警備は万全だ。
静かに手を放し会話を盗み聞きすると、どうやら相手もこちらに気付いてないらしい。
声を出してみようかとも思ったが、少し興味がある。
そんな自分をおかしく思い、笑ってしまう。
ベルカを知ってから、毎日がこんな穏やかになったのだ。
やはり、ベルカのおかげなのだろう。
「…本当?」
「………あぁ、おかしいところだよな」
男女が2人。
仲良く話し合っている所を見れば恋人なのだろう。
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