【短】何光年先の原石を
暫くして顔を上げた伯父は興奮気味に感想を述べた。
あそこがいいだの、ここがいいだの。
自分がボツだとした原稿にここまで楽しげに感想をくれることにあっけにとられる。
しかし香織はすぐにモヤモヤと複雑な心境になった。
嬉しいと思うより困惑した気持ちが大きくなる。
「どうしてこれがボツなの?」
真っ直ぐな質問に香織は口ごもった。
なぜと言われても実際のところ答えられないのだ。
どこか納得がいかない、売れる自信がないと言う漠然としたものだから。
そんな釈然としない香織の様子に伯父は少し考え込むそぶりを見せた。
「よし、少し出かけようか。」
立ち上がった伯父は香織を引っ張る。
急なことにバランスを崩しながらされるがままに香織は伯父の後についていった。