【短】何光年先の原石を

「あの星は25年前に頑張って輝いたから今こうして僕たちに綺麗な光を見せてくれる。」

そう言われて改めて見ると不思議とさっきよりもさらに綺麗に見えた。

「あそこに見える木星は分かる?」

「木星?」

「そう、あれは14分前の光なんだよ。因みに月は1秒前で、太陽は8分前だ。」

さっきのフォーマルハウトと比べたら断然早い。
一生懸命輝いても25年かかる星もあれば、たった数分数秒で届いてしまう光もある。

「因みに、あそこに見えるアンドロメダ銀河は230万年前ね。」

「230“万”年!?」

さらりと言う伯父に卒倒しそうになる。
途方もない年月に香織の想像力は追いつかなくなった。


そんな香織の様子に伯父はひとしきり笑うとフッと真面目な表情をする。

「どうしてここに連れてきたのか分かるかい?」

ただの気分転換と言うわけじゃないだろう。
香織は素直に首を横に振った。
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