再会は魔法のような時を刻む~イケメンドクターの溺愛診察~
『でも、僕…』


頬に力が入って、歯を食いしばっているように見えた。


それでも…


賢人君の眼差しは、相変わらずに優しかった。


綺麗な長いまつ毛が、瞬きする度に、印象的に映る。


ねえ、その先の言葉は、いったいどう続くの?


そんな潤んだ瞳で…


私を見つめないでよ。


『僕は、愛莉さんが好きです!世界で1番…あなたが…好きです』


秋の香りが漂うその場所で…


感情の込もった甘い言葉が、賢人君の口から私の耳元に運ばれた。


胸がキュンとして、熱くなる。


好きって…


今、好きって言ってくれたんだよね?


でも、どうして?


どうして賢人君が私を?


ん?もしかして、これも…嘘なの?


もう、全然わからないよ。


こんなにも有り得ない告白が続いて、何もかもが作り話のように思えてきた。


今までなかったことが、立て続けに起こってて、あまりにも現実的じゃない。


私の日常って、フィクションなの?


ううん…違うよね。


私は、ちゃんと、ここにいる。


これは、現実に今、目の前で起こってることなんだ。
< 121 / 185 >

この作品をシェア

pagetop