再会は魔法のような時を刻む~イケメンドクターの溺愛診察~
何が起こったかわからないくらい心が衝撃を受けた。


力強く訴えかける言葉に、どうしようもないくらい打ちのめされた。


僕は…


周りも気にせず、地面に四つん這いになってそのままの格好で嗚咽した。


悲しさ、つらさ、切なさ…


マイナスの感情が次々と溢れ出す。


なのに、不思議だ。


憎しみ、怒り、妬み…


そんな感情は、僕の体中、どこを探しても見つからなかった。


嫉妬にかられて、何かに取り憑かれていたように他人を憎んでいた自分。


そんな自分に、憎しみをぶつけていた相手の言葉で気づかされるなんて…


情けなくて、しばらく立ち上がることが出来なかった。


『坂井先生…』


そう言って、僕の肩に手を置いたのは愛莉ちゃんだった。


小さな手で、ゆっくりと僕を支えて立ち上がらせてくれた。


『先生…私、正直、先生が怖かったです。会いたくなくて、病院に行かないようにしてました。ごめんなさい。でも、やっぱり、あんなことされたら女性は怖いです。だから、これからは絶対にしないで下さいね。私以外の女性にも』
< 149 / 185 >

この作品をシェア

pagetop