再会は魔法のような時を刻む~イケメンドクターの溺愛診察~
まるで、解剖手術に立ちあってるみたいに真剣な目になってる。


ちょっと…笑える。


エビの殻を剥くだけなのに、そんなジーッと見なくても。


でも、きっと、何にでも一生懸命で全力投球なんだろうな。


この、2人並んでキッチンにいる状況。


2人でエビを剥く日が来るなんて…


子どもの頃は、当たり前だけど思いもしなかった。


『ねえ、瑞。ベランダでお花を育てても大丈夫?』


『ああ、構わない。好きなようにして』


『良かった、嬉しい。自分のマンションでも、小さなベランダにたくさん植えてたの。どうしようかな…何を育てようかな』


『綺麗に咲くといいな』


必死でエビを剥きながら、笑顔で言ってくれる瑞。


背の高い瑞の顔を見上げて、私も笑顔で返した。


『うん、そうだね』


すぐ隣にいる瑞を感じて…


同じ空気を吸って…


それがこんなに心地良いことだなんて。
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