翠玉の監察医 誰を愛したっていいじゃないか
アーサーがグッと体を伸ばし、マグカップに残ったコーヒーを全て飲み干す。ゼルダが時計を見て、「なら私と蘭はみんなのお昼ご飯でも買って来ようかな」と言った。もうすぐでお昼の十二時だ。

「わかりました。すぐに支度をします」

蘭がそう言った刹那、「ちょっと待ってもらえる?」と碧子が入ってきた。その顔は真剣なもので部屋の中に緊張が走る。

「解剖依頼が民間から入ったの。依頼人の方が来ているわ」

碧子がそう言い、蘭が「では私が話を聞きに行きます」と椅子から立ち上がる。依頼人がやって来ることは珍しい話ではない。ゼルダたちも落ち着いているが、圭介は「僕はどうしたらいいんですか?」と戸惑っている。

「圭介くんも蘭ちゃんと一緒に話を聞いてあげて。せっかく研修に来てくれたんだから」

碧子が圭介にそう言い、蘭も「行きましょう」と無表情で言う。圭介は頬を赤く染めながら蘭のあとをついて行った。



依頼人と話す応接室に蘭が入ると、大きなワッペンにグリーンの可愛らしいリボンのついたブレザーに、プリーツスカートの制服を着た女子高生がソファに座っていた。

「高校生!?」
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