翠玉の監察医 誰を愛したっていいじゃないか
驚く圭介に対し、蘭は表情一つ変えずに「お待たせいたしました」と女子高生に声をかける。俯いていた女子高生は、ガバリと勢いよく顔を上げた。

「お初にお目にかかります。監察医の神楽蘭です。必ず死因を究明いたします」

蘭がそう言うと、女子高生は「お願いします!私の……私の……親友の死因を調べてほしいんです!」

親友、そう口にした刹那に女子高生は悲しげな目をする。蘭の本能が何かを察し、目が見開かれる。

蘭は女子高生にお茶を出し、女子高生の前に座る。圭介も戸惑いながら蘭の隣に座った。

「私は、早乙女花鈴(さおとめかりん)と言います。数日前に亡くなった南千鶴(みなみちづる)の死因が知りたくて……」

涙を目に溜めて言う花鈴に対し、蘭は無表情のまま頷く。その時圭介が口を開いた。

「ちょっと待ってください!早乙女さん、あなたは高校生ですよね?その制服、F学園のものじゃないですか?」

F学園とは、テレビで取り上げられたこともある有名なお嬢様学校だ。有名な女優が何人も卒業している。
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