翠玉の監察医 誰を愛したっていいじゃないか
戸惑ったままの圭介に対し、蘭は無表情のまま「関係ありません」と口を開く。

「依頼人の年齢など、関係ありません。亡くなった時の真実が知りたい、そう思うのなら私はーーー世界法医学研究所は誰でも依頼して構わないんです」

蘭の言葉に圭介は「わかりました……」と言って口を閉じる。蘭が続きを促すと花鈴はスマホを出し、写真を見せた。色白で華奢な体をしている花鈴の隣で、日に焼けた健康的な女の子が笑っている。

「この子が千鶴です。私が高等科に進級した頃、スポーツ推薦でF学園に入学しました。テニスが本当に上手で個人戦では準優勝に輝いたくらいなんです!明るくて、面白くて、優しくて、気付いたら仲良くなっていました……」

千鶴のことを話す花鈴はとても楽しそうだ。しかし、千鶴が亡くなった時のことを話し始めるとその顔は一瞬にして暗くなる。

「数日前、千鶴は私に手紙をくれました。その日は私の誕生日だったからです。そして、その日に千鶴は亡くなりました。自宅の玄関で倒れていたんです。コスモスの花を持って……」
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