翠玉の監察医　誰を愛したっていいじゃないか
「蘭さん、圭介さん、お待ちしていました。どうぞ中に入ってください」

花鈴は門を開け、豪邸の中に蘭と圭介を入れる。その時に男性を思い切り睨み付けたことを蘭は見逃さなかった。

「申し訳ありませんが、私の部屋で話を聞かせてください」

花鈴はそう言い、豪邸の廊下を歩いていく。高い調度品が飾られた廊下を圭介は驚きながら見つめているが、蘭は歩いていく花鈴の背中をジッと見つめていた。

「ここが私の部屋です」

花鈴がドアを開けると、そこには女の子らしい高級なロココ調の家具が置かれていた。

「可愛いですね」

圭介がそう言うと花鈴は「ありがとうございます」と言い、微笑みを見せる。しかしその微笑みはどこか疲れたようなものだった。

「早速ですが、解剖結果をお伝えしたいと思います」

豪邸に勤める使用人が紅茶を持って来てくれた後、蘭はその紅茶に手をつけることなく口を開いた。その表情も無表情で花鈴の顔にも緊張が走る。
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