翠玉の監察医 誰を愛したっていいじゃないか
千鶴の問いに蘭は頷く。目の前にはパッと見ただけではわからない友達に送るであろう手紙があった。


「花鈴、ハッピーバースデー!
 私、あなたの誕生日を祝えて嬉しい。
 幸運が花鈴に訪れますように。
 海にまた一緒に行きたいな。
 スミレの花がお互い好きで仲良くなったよね?懐かしい!
 夢中になっちゃうんだ。花鈴と話したらすると。それだけ特別なんだと思う。
 あなたに会えて嬉しい。
 私と出会ってくれてありがとう。
 PS.英語圏に一緒に旅行に行こうね」


「この英語圏というのが、メッセージを読み解く鍵です」

蘭はそう言い、手紙の文章の始めに書かれている言葉ーーー「私、幸運、海、スミレ、夢中、あなた」という言葉を別の紙に書く。そして言った。

「英語圏とぼんやりとした表現だったのは、文章の始まりの言葉を英語にしてほしかったからではないでしょうか。英単語に直していき、単語の一番最初のアルファベットを並べていくとある言葉になります」
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