翠玉の監察医 誰を愛したっていいじゃないか
でも、と蘭は続ける。いつも無表情だった蘭に表情が表れている。そのことにゼルダは驚き、圭介は頬を赤く染めた。碧子は優しい眼差しを向けている。

「こんなにも悲しくなるのは、その人に何度でも逢いたいと思うのは、それだけその人を愛している証なのだと思います。心から愛することができる人がいる、それは人生の大きな宝です。そこに異性も同性も関係ありません」

そう言う蘭の顔は、優しい微笑みを浮かべていた。花鈴はさらに泣き出し、蘭は花鈴を優しく抱き締める。

こうして、南千鶴の死の真相は明らかになった。



事件が解決したその日、圭介は胸を高鳴らせながら家へと帰っていた。明日は休日とはいえ、もう夜の十時過ぎだ。早くお風呂に入って休もう、そう思いながら圭介は歩く。

先ほどまで、圭介は蘭たち世界法医学研究所のみんなとご飯を食べに行っていたところだった。無事に依頼人に真実を明らかにすることができ、みんなと喜びを分かち合った。
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