離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
「俺の所も色々とあったからね…」

神戸さんはしみじみと呟くと語尾を濁して私から目線を逸らす。
私と交際していた当時の彼は自信に満ちて雅樹さんのように輝いて見えた。
でも、今の彼は何処か憂いて、疲れているようにも見える。

「ほら、それよりも傘」

彼は私に傘を押し付けた。

「でも…」

「返さなくていいから…」

彼の強引さに根負けして、傘を受け取った。

「じゃ高屋夫人」

「スキな人とは一緒になれたんですか?神戸さん」

「…いや・・・俺の片思いで終わったよ…」

彼は手をヒラヒラさせて、地下鉄の階段方向へと歩いて行った。

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