離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
雅樹さんは社長室から戻って来ず、そのまま緊急に上層部を集めて会議を始めた。

今まで、ずっと『高屋』の改革で走り続けて来た雅樹さん。
初めて彼は挫折を味わったのかもしれない。

そのまま、今夜は社長と共に雅樹さんは会食に。
相手は脇坂頭取。

終業後は自宅マンションに真っすぐには帰宅せず、『高屋エルネ』の足を運んだ。
クリスマスも年末年始の客足は順調で、売り上げもそこそこあるのかと思っていたけど、データ化してみれば、雅樹さんの考えていた数字には届いてなかった。
彼の目標とする数字は確かに高く。
『こんな数字は出せない』と売り場では陰口を叩かれる程。
こんなに人が大勢行き来してるのに、私は美波里様に会ってしまった。

「こんなところで貴方に会うなんて…何て奇遇なのかしら?」


「貴方は美波里様」

「…貴方達まだ・・・離婚してなさそうね…」

「私達は離婚する気など全くありません」

「…『高屋エルネ』…順調そうに見えてるけど…苦戦しているようね…」

美波里様は声を大きくして、周囲に聞こえるように言い放った。


私は彼女の辛辣な言葉に睨んで抗議した。

「だって、本当のコトでしょ?
『高屋エルネ』が失敗したら、『高屋』はおしまい。彼が貴方と離婚しない限り…ウチのパパは増資しないわよ…」



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