離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
フラッシュバック
桜の花びらが散り、ゴールデンウィーク明けの五月の半ば。
私と雅樹さんの二人で奥多摩にある遊佐家の墓地がある霊園に向かった。

私のお腹の赤ちゃんも七ヵ月目を迎え、益々お腹もふっくらと丸みを帯びて来る。

霊園に行くまでの山道は険しく、サンデードライバーの雅樹さんのハンドルを握る表情は真剣だった。

無事に霊園に辿り着き、遊佐家の墓に参拝し、陽が沈む前に斜面を滑るように走り下り、来た道を戻っていく。

父と母三人で久しぶりに楽しんだドライブもこんな獣道だった。

今更どうして父と母を一気に失ったあの事故を思い出したのか自分では分からなかった。

私だけが車外に投げ出され、助かった。
スクラップのように押しつぶされた車。
潰れた車体から覗く二人の血まみれの手足。
凄惨な事故の光景は永遠に封印した記憶だった。
なのに、どうして今になって…そう思ってると・・・
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