離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
「どうぞ」
私は副社長にコーヒーを出した。

「午後からの新店舗の工事視察は少し遅らせますか?」

「いや…それは現場にも迷惑が掛かる…時間はそのままでいいよ」

「承知しました」

「それよりも遊佐・・・俺と君のコトだけど」

「あ、はい…」

「…コーヒー飲んだら、社長室に行くぞ」

「え、あ…でも・・・そう急がなくても…」

「何を言ってる…君の気が変わったら、元も子もないだろ?」

「私の気が変わるコトは…寧ろ…副社長の方が…」

「俺の気は変わらないよ…」

副社長は黒い瞳に強い光を宿し、毅然と返した。

結婚と離婚の同時進行。

「で、離婚の予定はいつですか?」

「そうだな…まぁ、一年先を見ておこうか…」

「一年先ですか…」

「もう少し伸ばした方がいいか?」

「いえ・・・一年でお願いします…」

先延ばしにされたら、多分今度は情が溢れてちゃって離婚なんて出来なくなる。
それでなくても、彼は私の想い人なのに。

「こんなバカな提案に乗ってくれたのは遊佐だけだ…」
「他の女性にもこのような提案をされたんですか?」

「…いや君が初めてだよ…遊佐。
まぁ、君は酔った勢いとか言え、俺に蛮行を働いたから…従うしかないんだけど…」

「・・・本当に申し訳ありません…」

私は慌てて頭をペコペコ下げる。

「今度は君が俺の忠犬になってくれ…遊佐」

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