離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
でも、その希望は遥か遠くの彼方で、それからはまた時折、指が動くけど、進展はなかった。

私は雅樹さんと病室を行き来しながら、その傍らで辰希さんの仕事を手伝う。

フリーのバイヤーとして世界を駆け回っていた辰希さんも日本を拠点にして、東京の池袋のオフィスビルの一角に事務所を構えた。

私は事務所のスタッフの一人として働き始める。

いつまでも、周囲に甘えているワケにはいかない。
私一人で雅を育てる覚悟でいかないと。

「はい、今月の給料…」

辰希さんが私に給与明細の入った封筒を渡した。

「辰希さん…あの」
私は執務室に戻る彼を追い駆けた。

彼の私に対する給与は全く働きに見合わず多かった。

「何だ?」

「こんなに貰える程…私、働いてないんだけど…他のスタッフさん達にバレたら、困る」

「・・・俺のキモチだ…まさか…こんな風になるなんて…俺は後悔してるんだ。彼にお前を任せたコトを」

「辰希さん…」

「お金は要るだろ?子供の成長は待ってくれない…これからどんどん金かかるぞ。梓」

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