離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
私は二ヵ月に振りに美容院で髪をカットして、カラーリングした。


雅樹さんを診察室を出た後、伊集院先生は私にこう訊いた。

「・・・高屋さん…精神的に追い詰められていませんか?」と。


「あ…」

「事故以前の彼はあれだけハイスペック。仕事もバリバリ出来た人。
軽度の高次脳機能障害と言え…精神的に相当参っているのではないかと思います」

「人に世話を掛けられるコト、私達に気遣われるコトに対して…凄く罪悪感を持っています」

「・・・漢方薬と彼には説明しましたが…これは抗うつ剤です…まぁ、二十四時間…貴方は共に居る。少しでも彼の変調に気づけば、遠慮なく相談してください…」

「伊集院先生…ありがとう御座います」


「これは亜鉛の含有量の高い食材のレシピの冊子です。これを参考に彼の為に食事を作ってあげてください」

「はい…」

私は冊子を受け取り、椅子から腰を上げた。

「…障害が一つの個性として思える時が来れば…高屋さん自身ももっと良い方向に変わっていけると思います。共に頑張っていきましょう。奥様」

「はい」

―――障害が一つの個性か…



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