離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
視察を終えた私達はその足で、高層ビルの一階にある不動産会社『周防エステート・ヒルズ店』に向かった。

私達の素性を訊き、窓口ではなく、中の応接室に通された。

「私がヒルズ店の支店長を務めます。高輪です」

「俺は『高屋』の副社長の高屋雅樹です。隣の女性は俺の婚約者の遊佐梓です」

「高屋副社長もご結婚されるんですか…それはおめでとうございます」

「このベリーヒルズで新居を捜そうと二人で立ち寄らせて頂きました…」

「やはり、希望はあの『ベリーヒルズ・レジデンス』ですか…」


「はい」

「あそこは人気のあるレジデンスですからね…」

「じゃ空いてないと言うコトですか?」

「一階で角部屋なら、一室空いてますよ…高いグレートの部屋がお望みなら、無理ですが…」

「そうですか…じゃそれで…お願いします…」



「ふ、副社長!!?」
私は即決する副社長に慌てふためいた。

「部屋を見てから・・・決めなくていいんですか?」

「…別にいいよ…この間…レジデンスに住んでる友達のホームパーティーで見た…彼の部屋は三階だったけど…そりゃ出来れば…一階じゃなく・・・ペントハウスに住みたかったな…まぁ、諦める…」

「でも・・・あそこのレジデンスは…高級マンションですよ…」

「俺を誰だと思ってるんだい?遊佐」

「老舗百貨店『高屋』の副社長です」

「そして君は俺の婚約者…こんなところで、この俺に恥をかかせてはいけない…君は黙ってついて来る。いいね…遊佐」

「はい…」

私は素直に返事して、口を噤んだ。


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