離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
私は副社長を仏間に案内した。

「これが私の両親です…」

「二人とも若いな…」

「私は二人が二十三歳の時に産まれた子供です…父と母は学校の同級生で、高校時代から交際していたそうです」

「へぇー…」

二人で正座して、仏壇に手を合わせた。

「梓…どうして伯父さんと伯母さんと呼ぶんだ?君の父親と母親代わりになってくれていたんだろ?」

「そうですけど…テレ臭くて…」

「また、アルコールを飲ませたら、そのテレはなくなるのかな?」

「私…絶対に副社長の前では二度とお酒は飲みません…」

私は強い口調で返した。

「俺のコトは副社長じゃなく、雅樹さんと呼んで欲しいもんだな…」

「それは…まだ・・・結婚してからでもいいと思います」

「…余所余所しい感じがして、周囲に勘繰られたら、どうするんだ?梓」

私は副社長に詰られ、返す言葉がなかった。


「会社じゃクールに仕事をこなしてるけど…普段の梓は本当に表情が豊かだ。見ていて、楽しいよ。特にあの夜の君は強烈だった…」

「あの夜のコトは言わないで下さい…」

「…あれから・・・十日経つんだな…キスする機会もないし…とっくに俺のバッテリーは切れてるぞ…梓」


「此処は仏間だし…困ります…」

私達の方を見ているように見える両親の遺影が視界に入っていた。


「じゃ梓の部屋に行こうか?」

「えぇ~っ!?」

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