離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花～

海外を飛び回っていると思われた辰希さんは東京に居た。
私が越して、家を出た夜にイタリアから帰国したらしい。
私を介し、三人で『ヘブンズホテル・ヒルズ』のフレンチレストランの個室で会う約束を交わし、十九時にレストラン前で待ち合わせした。
奇抜な格好で人の目を惹きながら辰希さんは私達に近づいた。

「初めまして…辰希さん…梓の夫の高屋雅樹です」

「どうも」
辰希さんは仏頂面で雅樹さんの名刺を受け取った。

「俺の名刺も要るか？」

「出来れば…」

雅樹さんは辰希さんの気に障る態度にも笑顔をたやさなかった。
辰希さんも上着のポケットから名刺を取り出し、雅樹さんに渡した。

「ありがとう御座います」

雅樹さんの案内でレストランの中に入って行く。