離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
「君は責任感の強い女性だ…そうだろ?遊佐」

彼は両手を組みその上に顎を乗せて、私を一途に見つめる。
その顔は真剣だった。

「はい…」
「責任感じているだろ?」
責任の取り方について私が思い悩んでいると副社長の方から助け船を出してくれた。

「はい…」
私は思わず同調した。

「なら、俺の提案、受け入れてくれるよね…遊佐」

「提案?」

私は副社長に訊き返す。


「俺と離婚前提に結婚してくれないか?」

「えっ?」

副社長の思わぬ提案に目が点になった。


「意味が分かりません…離婚前提の結婚って何ですか?」

「・・・俺に見合い話が来てるのは知ってるだろ?」

「知ってますが…」

「でも、俺はその見合い話に全く興味がないコトも秘書の君なら知ってるよね…」

副社長は私に念を押した。

「はい、理解しています…」

「早い話期間限定の結婚だと思えば良い…」

「・・・」

「…見合い話を断るにしても…『高屋』の大切な取引先のお嬢様だ。粗相のないように断らないと…ビジネスに尾を引いては困るだろ?」

「副社長の言う通りです…」

「じゃ俺の提案、謹んで受け入れてくれるよね…遊佐」

「・・・あ・・・はい」

私の記憶にはないけど、私は副社長に恥ずかしいプレイを強要したらしい。

彼の厚意を仇で返すなんて…


「では秘書の業務の一環として謹んでお受けします。副社長」

「…遊佐は物分かりは良いな…でも、これは二人だけの秘密だ。世良にもナイショだ。いいね。遊佐」

副社長は人差し指を唇に立て、口止めした。

「はい…」

「じゃ早速…社長に報告だ」


「えっ!?」

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