離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
「ほら、おいでよ。遊佐」

副社長はリクライニングチェアから腰を上げて私の方に歩み寄り、手を掴んだ。
触れ合う手から伝わる彼の温もり。
曖昧な記憶の中で交わした肌と肌。

胸の鼓動が高鳴り、警笛の信号は点滅し始める。

私は反射的に副社長の手を振り払う。

「そんな風に拒絶されるのは心外だな…遊佐。昨日の夜はとっても積極的だったのに…」

「副社長…」

副社長ってこんな風に意地悪な人じゃなかったはず。

不敵に私を見つめ、距離を詰めていく。

カタンと私の腰許にデスクが当たった。

「此処に座って…」

副社長は私をデスクに浅く座らせる。

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