打ち上げ花火とミルクティー
プロローグ
オレンジ色の日差しが彼女を照らす。
手元には参考書とノート。
彼女は、右手に持ったペンを器用にくるくると回している。
本の匂いが充満するこの場所が、彼女にとって唯一の憩いだった。
まだ、家に帰るには早すぎる。
ここが閉まるまでは、帰らない。
彼女は毎日毎日この場所にいた。
溜まっていた黒いモヤモヤを吐き出すには、ここにいるしかなかった。
ここ以外に、居場所はない。
彼女の瞳には、キラリと光る雫が溜まっていた。